サヨナラいとしい子
そうよ!チャンスよ!


アタシは真剣に
ハルトの瞳を見つめた。


返すだけじゃなく、
仲を深めなきゃ!



「いきなりご飯とか
誘ったりするのは
引かれるかな…?」


誘いなさい!


「…それとも…、
…ケータイ聞くのも
引かれるかな…」


「でも、でも…」



思案しながら、
ハルトの顔は
どんどんくもっていく。


悪いほうに、
考えが向いている。



「…断られたら、
俺たぶん立ち直れない…」



そう言って、
しばらくハルトは
黙って頭を抱えて考えこんで、
答えをだした。


「やっぱコレ
返すだけにしとこうかな…」



何言ってるのよ、
せっかくのチャンス
じゃないの!!



ハルトの消極的な伏せ目に
アタシは胸が苦しくなった。



好きな女の子と
仲良くなりたいのに、

過去の失恋が足枷になって、
ハルトを臆病にしているのね。



でも、勇気を持って!


男には、いかなければ
ならないときってのが
あるものよ。




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