サヨナラいとしい子
「ココア、水飲めるか?
…ゴメンな、
平日はどうしても
仕事休めなくて。
定時で帰るようには
してるんだけど。
休みはずっと一緒に
いてやれるからな」


ハルトは、
労るようにアタシを支え、
水を飲ませてくれる。



…バカね。

休日こそ、女の子と
デートしないでどうするの。



アタシなんかに構ってないで。


アタシはもう、歩けないの。

散歩は必要ないの。



もう、貴方の義務はおしまい。



だから、自分の幸せを考えて。



アタシと一緒に
いてくれるのは、

とってもとっても
うれしいけど…。


見たいのよ。

お願いだから、
幸せになった姿を見せてよ。


アタシだけ幸せにしてもらって
逝くなんて…
不公平じゃない。



結局アタシは、
ひろってもらって

面倒をかけてばっかりで、
ハルトに恩を返せてないの。



アタシには、
ハルトを幸せに
してあげられる力はない。


他力本願で情けないけど、
幸せになってほしい。


幸せなハルトを見せて。
安心させて。



早く早く。




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