サヨナラいとしい子
ハルトが話すことといえば、
仕事の話が大半だったけど、


いつの頃だったかしら。



一人の女の子の話を

熱心に、
恥ずかしそうに、

でも嬉しそうに、
ときおり落ちこんで、


家族にも誰にも内緒な、って

照れながら話して
くれるようになったのは。



二ヶ月くらい前だったかしら。


アタシがいよいよ
歩けなくなってきて、

お医者さまのところへ
連れていかれたとき。



ハルトが車を
運転するようになってから、

病院は車で遠いところに
連れていってくれる
ようになった。


いいお医者さまが
いるところなんだそうよ。



アタシが散歩に
行けなくなっても、

トイレのお世話も
嫌がらずにやってくれるし、
ハルトは本当にいい子なの。




話がそれたわね。

そう、二ヶ月前のこと。



動物病院で、
“あの女の子”と会ったの。





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