ヌイグルミは投げるものではありません

超カワイイと思えるペット間城を引き連れて、いや、案内させただけなんだけどね、どんどんと歩く。

東京ドーム三個はありそうなくらい広いため、本当に迷子になったみたいだ。


「そだ! きみ、転校生?」

「うん。入れ替わる方じゃないよ」

「ん?」


あれ、このネタが分かんないか。
神社から落下って言っても分からないだろうな……。

首を傾げてる姿は、本当に犬にしか見えない。


「クラス、どこになるかなー」


語尾を伸ばすことが癖のようで、さっきから母音が強い印象を持つ。


「ねえねえ、名前教えてよー」

「あ、フェアじゃない。僕は、一応、観月」

「……いちおー?」


別に偽名とか使ってるんじゃないのよ?
ただ単に、ちょっと面白おかしく生きたいってだけなの。

この心でのお嬢様っぽい話し方だって、普段のヤル気ないところの反動なんだし。


「昔のドラマって、すごいよね。普通にセックスしよって言うんだよ」

「……へ、へぇ」


間城は顔を真っ赤にさせると、私から距離を取った。
よっぽど恥ずかしかったようだ。
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