ヌイグルミは投げるものではありません
何日かグダグダな生活を終えて、何とか私たちは帝園(ていえん)高校に来た。
「あっつい……。なんかギャグやってよ。そして滑ろ」
「ええー、ムチャブリ。花火で、はーナビですかー」
「さて、中に入ろうか」
「……やっぱり無視だよな」
帝園というより、庭園の涼しげな雰囲気で落ち着く。
「わあ、ここで昼寝したい」
「野獣たちに襲われるぞ」
「ははは、むしろ私が襲ってやる」
「……あー、ヤりそうですね」
言葉が危ないってことに気付いてるのかしら、このバカ。
ネクタイをアイロンをしたように整えれば、一瞬で私は別人となる。
「おっしゃー、僕に着いてこい」
「……なんで、男の俺よりカッコイイんだろうな」
後ろからヘタレ気味な声がしたが、無視無視。
相手にしたら、こっちが痛手を負う。