今日も今日とて僕は僕をコロシます


「車をもっと前に出してください」


「は?それじゃ……」


「落ちない程度でいいんで」


逆らえないと分かっている奴は、また進む。


実際にはあまり進んでないが、チキンレースでは先にブレーキを踏むタイプらしくブレーキを踏み、ギアに左手を置こうとしたところで。


「はい、ご苦労様」


役目を果たした者は、用済みにした。


貫通させた首元。小狐丸を抜けば、噴水らしく血の柱が吹き出した。


「とと」


殺した弾みでブレーキから足が外れたらしく、車が前に進んだので、慌てて飛び出した。


ギアはDのままだ、車は進む。


前には貯水槽。
ずいぶんと焦れったさがあるゆっくりペースだったが、車が落ちた。


ばしゃん、だなんて大げさな音は、辺りの田んぼで鳴いていたカエルの合唱を打ち切る。


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