野球なカレ。
「なあ、唯?」



―――――どくんっ

あたしの名前を呼ぶ声がいとおしくて。



「なんで、泣いたん?」



心配そうにあたしを見る目が、とても愛らしくて。



「俺…まずいこといった?」



ブンブンという効果音が似合うくらい首をおおきく横にふった。



「じゃあ…なんで?」


「なんでもないっ。」



あたし…かわいくないなあ。




「唯。いってくんなきゃ俺わかんないよ。」




抱き締める力が強まる。


「コウ…。」



もう、なんで優しくすんの?


泣きそうになりながらも真剣なコウを見つめた。




「――――っ。」



コウの顔が一瞬にして真っ赤になった。




と思ったら。





< 9 / 13 >

この作品をシェア

pagetop