青い海
ギュッ・・・

紗琥が私の顔を見て、いきなり抱きついてきた。
そして、ほぅ・・とため息っぽいものをついた。
「よかった・・・」
「なにが」
「夢じゃない・・・」
「なにがそんなに嬉しいんだ」
「・・・璃音は俺のものだろう?」
「ものにするな」
「でも、そうだろう?」
「・・・まぁ、そだな」
昨日、なにがあったかはあまり覚えてないが、そうなったらしいので、そうらしい。
「り~おん♪」
ガバッと布団をマントのように広げ、覆いかぶさってきた。
「なに?」
こんなときに冷静である必要はないんだけどな・・・。
「ヤろ♪」
「や」
「なんで?」
「疲れる・・・」
「俺の方が疲れる」
「そういう問題じゃない」
「・・・ケチ」
「ありがとう。最高の褒め言葉だ。もっと言ってくれ」
「・・・・・・・・・」
ム~っと顔をゆがませ、小声で「ヘンタイ」と言ってきた。
「璃音」
「なに?」
「男言葉、使うな」
「・・・・は?」
確かにさっき男言葉っぽくはなったけど・・・。
「お前は、女だ」
「・・・男によく間違えられる男の制服を着た女だけどね」
「でも、女だ」
「はぁ・・・」
なんだか微妙に鬱陶しく思えてきた。
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