矛盾という名の願い
私が見つめていることに気づいた男の子はそれはそれは天使のように愛らしい顔で笑った。
……………かわいい。
そう思ってしまったのは不覚でただごまかすように顔を逸らした。
「良かったぁっ。気づいたみたいだね」
男の子はにこにこと嬉しそうに笑いながら私に話しかけてきた。
………誰だろうか…。会ったことあったっけ?
しかしいくら記憶を辿ってもこんな美男子とは知り合いなはずがない。
それに…ここ、どこだろう…?
視線だけを動かして周りを見れば黒で統一されたシンプルな部屋。
生活感溢れる部屋でもちろんその部屋にも見覚えはない。
「おーい、大丈夫~?」
男の子が目の前でひらひらと手を降る。
「………」
何も答えられない私は黙って男の子を凝視。