年下の罠-年下の悪魔-

手を伸ばしたら、涼君に触れてたし

運動中、ずっと手を繋いでくれてたし

大雨の日は職場まで迎えに来てくれたっけ?




高級車じゃなくてもいい。

自慢出来なくてもよかった。


私は前の涼君の方が好きだった。


ヤバい…
泣きそう…っ







「もうっ、最悪。メロンソーダ売り切れちゃったみたい」



私の涙腺を締まらせてくれたのは席に戻って来たアサミの不機嫌な声と、テーブルに叩きつけるようなグラスの音。


アサミのグラスからはシュワシュワと炭酸の弾ける粋な音が聞こえてる。

一瞬アイスコーヒーかと思ったけど、よく見たらコーラだ。


「アサミ、コーラ嫌いなの?」

「毎晩店でコークハイ飲んでるからね。嫌いって言うより飽きた」



さすが、現役売れっ子ギャバ嬢。

今日はオフみたいでナチュラルメイクだしノンアルコールだし。



「ゆいこそ、さっきからコーヒーばっかじゃん」

「私、炭酸苦手だから」





いつの間にか手元にあった空いた食器は下げられていた。

デザートでも…とか思ったけど、甘い物が苦手な私が食べれそうなデザートはなかった。


アサミがチョコレートパフェを食べるのを見ながら、私の頭の中は涼君の事と自分の気持ちの葛藤と



さっきの泣き顔を見られてないか、それが心配だった。




結局ファミレスを出たのは0時近く。

私の仕事が終わってからファミレスに到着して…、と逆算すると


約5時間近くファミレスで談笑してたみたいだ。
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