年下の罠-年下の悪魔-


「…別に、何でもないですよ!」



やだ…
今の私には仕事しかないのに。

仕事にまでイライラを持ち込みたくない。


「そう?ならいいけど、顔色悪かったから」


さすがママだ、10年近く一緒に働いてるだけあって私の体調はお見通しか。


昨日、涼君からの電話を待ち続けて寝不足なんて、格好悪くて言えない。


夏バテって事にでもしておこう。



イライラ、悶々しながら定食用のお味噌汁を作っていると


「あとね、ゆいちゃんにお願いがあるんだけど…」



気持ち悪いぐらいのママの猫なで声。

って言うか、ママがそんな声出す時って決まって―――――



「今週の日曜日の夜って空いてる?」


やっぱり、仕事の代理ですか…。



「ごめんね。バイトの子何人かがテストらしくて…テスト休みが欲しいらしくて」


豆腐を切り終え、ネギを切りながら壁にかかってあるカレンダーとシフト表を見比べた。


今週の日曜日は早番だから、午後は涼君と会えると思ったのに。


でも
涼君の事だからどうせまた洗車する気なんだろうな。

前日の土曜日は遅番だし、涼君とのデートは土曜日のお昼でいっか。


「いいですよー」

「本当?助かるわ!人手不足で困ってたとこなの!」
< 6 / 17 >

この作品をシェア

pagetop