年下の罠-年下の悪魔-
「…別に、何でもないですよ!」
やだ…
今の私には仕事しかないのに。
仕事にまでイライラを持ち込みたくない。
「そう?ならいいけど、顔色悪かったから」
さすがママだ、10年近く一緒に働いてるだけあって私の体調はお見通しか。
昨日、涼君からの電話を待ち続けて寝不足なんて、格好悪くて言えない。
夏バテって事にでもしておこう。
イライラ、悶々しながら定食用のお味噌汁を作っていると
「あとね、ゆいちゃんにお願いがあるんだけど…」
気持ち悪いぐらいのママの猫なで声。
って言うか、ママがそんな声出す時って決まって―――――
「今週の日曜日の夜って空いてる?」
やっぱり、仕事の代理ですか…。
「ごめんね。バイトの子何人かがテストらしくて…テスト休みが欲しいらしくて」
豆腐を切り終え、ネギを切りながら壁にかかってあるカレンダーとシフト表を見比べた。
今週の日曜日は早番だから、午後は涼君と会えると思ったのに。
でも
涼君の事だからどうせまた洗車する気なんだろうな。
前日の土曜日は遅番だし、涼君とのデートは土曜日のお昼でいっか。
「いいですよー」
「本当?助かるわ!人手不足で困ってたとこなの!」