俺様な兄と下僕
パシリな日々
「はあぁぁぁ。」

由季は深いため息とともに、床に倒れ込む。
すると、すぐにテーブルの下から長い(自称)の足が由季の足のスネを蹴っ飛ばした。
「痛え、何しやがるこのクソ兄貴。」

「誰がクソ兄貴だと。何か言う事あるだろ。」

上から目線のムカつく身下ろし方で、由季を見ていた。
決して、目線が怖いわけでもない。むしろ笑顔だ。
しかし、この後の展開は勿論わかっている。

「済みませんでした。」

「ちゃんと目を見て心を込めて謝れよ。」

「ごめんなさい。」

「よろしい、じゃっ続きをやろうじゃないか。」

今は、夏休みで普通なら快適かつ有意義な夏休みを送るはずだった。
しかし、由季は普通ではなかった。

そう、響也という「世界は自分中心で回っている。」と勘違いした俺様な兄がいたのだ。

という訳で、由季は兄響也の宿題である社説写し(10日分)をさせられている。
「嫌なら断ればいい。」こんな甘い言葉が通じれば、断っている。

しかし、それができないのだ。

腕力では、絶対に敵わない。しかも、口喧嘩したとして、由季の話も聞かず一方的に圧力をかける。

一緒に暮らして早十数年、由季は"結果が同じなら素早く手を引くこと"を兄によって学んだ。

「自分の宿題だろ、自分で少しはやれよ!」

「やってるだろ、お前という"下僕"が。」

こんな最低な兄みんなから嫌われてるに決まっている。
由季はそう思っていたが、実際は外面はものすごくいい。

そして、仲の良くなった男子だけにこの実態を晒して、「可哀想な被害」もとい「心優しい友達」になるのだ。






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