天使の羽根

 無精鬚をもろともせず爽やかに笑って見せる店主は、指先に乗る程の小さな羽根を裏返すと、器用に名前を彫っていった。

 そして『hodaka』『azumi』と片方ずつの羽根に刻まれた名前が、穂高の目の前に翳される。

「これでいい?」

「仕事、早いっすねぇ~」

 高志が感心した声を上げる傍ら、穂高は大きく頷いて見せた。


< 119 / 562 >

この作品をシェア

pagetop