天使の羽根

 賑やかだった空間に残された二人の間に、ぎこちなさだけが募っているようだ。

「ったく、人様の誕生日は覚えてるくせに、俺の誕生日は忘れるんだぜ?」

 暫くして、その空気を破るように大きな溜息を落として高志がぼやいた。

「ははは」

 穂高は空笑いを返すしかなかった。

「ちなみに親父は穂高の誕生日まで知ってる」


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