天使の羽根
「だって、せっかく穂高、誕生日を覚えててくれたんだもん。去年も、一昨年も、その前だって忘れてたくせに」
「ばっ、だからって何で泣くんだよ!」
子供の頃ならしょっちゅう見ていたはずのあずみの泣き顔も、今ではあまり見た事がなかった穂高は、おろおろとするばかりで、どうしていいのか解らなかった。
「だって、すっごく嬉しいんだもん」
だが、満面の笑みを零した一言で、穂高はフッと心が真ん中から和らいでいくのを感じていた。