天使の羽根

「ばかやろう」

 穂高はそっと、あずみの髪を撫でた。

「あ、懐かしい……小さい頃は穂高っていつも撫でてくれたよね」

「そうだっけ」

 穂高は恍けてみたものの、本当は何もかも覚えているような優しい眼差しを向けていた。


――覚えてるよ、あずみ。俺は、お前に……。


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