天使の羽根

 あずみが泣く度に、こうやって髪を撫でてやっていた事を、穂高は思い出していた。

 自然と綻ぶ顔の温かさが伝わり、今まで隠していた部分を溶かしていく。

 でもこれは、あずみを安心させる為ではなく、自分の気持ちを確かめる行動だったのだと気付かされた。


――俺は、いつもあずみに触れていたかったのかもしれない。



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