天使の羽根

「だって、明日の為に早く寝なくちゃって思ったんだもん」

「は?」

 穂高の声を遮るように慌ただしくドアが閉まると、あずみの足音が遠のいていく。

 聞き慣れた音は、次第に外へと消えて行った。

 残された穂高の手が、まだ下ろせないまま固まっている。

「学校終わってからだって……俺言ったよな……」

 誰にともなく確かめるような声で、ようやく穂高はゆっくりと腕をおろした。


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