天使の羽根
窓の外には、今しがた出て行ったあずみの姿が、月明かりに美しく照らされている。
触れる事さえ躊躇う程に、意識し始めた手を握りしめ、穂高はキュッと唇を引き締めた。
自分の気持ちを言ってしまうと、もしかしたら二人の関係がぎくしゃくするかもしれない。
そんな不安が穂高の胸を過るも、このまま何も言わず、誰かに取られてしまう方が辛かった。
――明日言おう……俺の気持ちを……黙ったままだなんて苦しすぎる。
その心も既に、決意を引き締めていた。