天使の羽根
街のネオンをバックに、橋の上から遠くに灯る漁火が良い具合に恋人たちの雰囲気を高ぶらせるのだとか……だが、穂高にとっては幼馴染と言う三人の思い出の場所だった。
今でこそ冷たいコンクリートに塗り固められた用水路のせいで少なくなったが、昔はよく、智子に連れ立たれ蛍を見に行った場所だった。
仄かに灯る思い出の光に、三人の胸にはいつまでも消えなかったのだ。
大人になったら、三人の恋人を連れてこの場所に来ようなどと約束した橋。
だからこそ、穂高はこの場所を選んだ。
昨日の約束に、幼い頃の約束を照らし合わせる。
そして、今宵は満月。