天使の羽根

 ネオンも漁火もいらない。

 ただ、自然の光だけが二人を包み込んでくれれば、素直になれる気がしたのかもしれない。

 橋に辿り着いた穂高は、肩で大きく息をしながら中心に目を凝らした。

 前髪が雨に濡れ、視界が悪いが、そこにはっきりと見つけた。

「あずみ?」

 人影を見出した穂高は、徐々に近付く。


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