天使の羽根
Act.3
穂高はあずみに言った通り教室へ戻ると、鞄を小脇に抱え早々と校門を出た。
いつもの帰り道、だが今日は生徒の喋り声もなく静かな道のりだった。
トボトボと一人歩いていた穂高の足は、無意識にも家路ではない方向へと向っている。
立ち止まったそこは、先程あずみが言っていた駄菓子屋の店先。
ふいに見上げた穂高は自分でも驚いた心境だった。
――世話になんかなっていない無関係のババァだと思っていたのに。
そう思うも、心のどこかでは心配する気持ちがあったらしい。
「ま、顔でも見ていくか……」