天使の羽根
穂高は持っていた缶コーヒーを一気に飲み干すと、反対斜線に目に付いた自販機の横にあるゴミ箱を見据え、高々と缶を放り投げた。
しかし、投げた缶はゴミ箱の端にはね返り、車道へと転がり落ちる。
舌打ちをしながらも、穂高はそれを直そうとはしない。
「こら――――っ! 穂高ぁっ!」
耳の奥に響く甲高い声に、穂高の肩は一瞬ピクリと上がった。
だが、すぐにも短く溜息を落とすと、振り返りもせずまた一歩踏み出した。