天使の羽根

「ま、いいだろ別に……」

 と、高志が眼鏡のブリッジを中指でくいっと押し上げた時だ。

「いいわけないだろっ!」

 突然と会話に入った怒鳴り声に二人は思わず肩を竦めた。と、同時に二人は勢い良く頭を蝿叩きで連続殴打され、爽快な音が響き渡る。

「いって~な、何するんだよクソババァ!」

 言いざま振り向いた高志の目の前に、病気のはずの智子が腰に両手を当て仁王立ちしていた。

「病気じゃねぇじゃん」

 呟いた穂高の言葉に目を光らせる智子だったが、フンッと鼻を鳴らした。


< 30 / 562 >

この作品をシェア

pagetop