天使の羽根
けたたましい叫び声が、家の中から轟いた。
「ぜってぇ~ヤダ! 死んでもヤダッ!!」
あずみは、穂高の声に溜息を落とす。
「まったくもう、何やってんだか……」
呆れた顔を浮かべ、あずみは道彦を見やった。
そして、智子の肩を放すと、道彦に委ねた。
「道彦さん、あまり智子さんを悲しませないであげて」
そう言って、家の中へと駆け出した。
道彦は、そんなつもりでは、と呟きながらも、泣く智子に近付けないでいた。