天使の羽根
智子は、苦笑いを浮かべるも、さも空襲が当たり前の出来事のように語った。
「空襲……」
「ええ、その空襲であの子たちは親も家もなくしたんだと思う……死んだ大勢の民間人の中にこの子たちの親もいたんだろうね。奇跡的に助かったあの二人が、たまたまあたしの両親と出会って、あまりにも可哀そうだったから家に連れて帰ってきたのよ……」
あずみは黙って、智子の話を聞いていたが、苦しい胸は更に締め付けられ、涙が溢れた。