天使の羽根
あずみは、何度も頷き返すと、智子の手を握り締めた。
「大変だけど、子供がひもじい思いをしているのは少ない。便利なものが沢山あって、食べ物もあり過ぎて勿体ないくらい……それに日本は、戦争もしていない」
「そう……でも、こんな時代に比べればいいのよね」
「だけど……贅沢過ぎて……何だか悪いよ。便利になっていく中で、だんだん何かを失っていっているような気がする」
あずみは、ここには溢れている愛情が、未来にはない気がした。