天使の羽根

 ふとした呟きに、道彦が顔を上げる。

「何かあったか?」

「いや、最近、やたらと飛行機が飛んでるなと思って……」

 そう言って穂高は、道彦に視線を移した。

「ああ、あれはB-29と言って、米軍機だよ」

 道彦は、それだけか、と言って再びカメラを丁寧に拭く。

「あれには焼夷弾(しょういだん)が積んであるんだ」

「焼夷弾?」


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