天使の羽根

「そっか、誰だって怖いよな。でも全然そんな爆弾が落とされたような焼けた跡なんてどこにも……」

 カメラのレンズに息を吹き掛ける道彦は、穂高を見ないままに答えた。

「落とされたのは街の方、ここは山手だからな、あまり被害がなかった。標的にする物がないんだ、もう何もないだろ」

「そんな事言って、保証ねぇだろ」


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