天使の羽根
「智子さんを幸せに出来るのはあんたなんだよ。好きなんだろ?」
返事をしない様子に、とうとう我慢できなくなった穂高は道彦に歩み寄ると、その胸倉を掴んだ。
道彦は既に力なく、その反動に揺さぶられる。
そして、道彦の頬に穂高の拳がのめり込んだ。
「だったら、あんたしかいねぇんだよっ!」
ガタガタと傍にある机に傾れ込むように倒れた道彦は、痛みの走った頬に手の甲を宛がったまま項垂れた。
「智子さんを守れるのは、あんただけなんだ! 離れるな!」