天使の羽根

「傍にいてくれて」

 互いの顔を見合った二人を煌々と輝く月が照らす。

 そして、微笑みを交わし、再び月を見上げた。

「もうすぐだな」

「え?」

「え、ってお前……満月だよ」

「あ、そっか……忘れてた」

「忘れんなよ」

「だって、何だか慣れちゃったって言うか……ここの人たちの暮らしを見てると、自分だけ未来で幸せでいいのかなって考えちゃうし」

「でもここは、俺たちの時代じゃない……」

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