天使の羽根

「解ってるよ、でも考えた以上に大変だけど、みんな明るいし楽しいし……住み難くないよ」

「そうか? 俺は不便で仕方ないけどな。風呂は薪だし、コンビニはねぇし、ゲーセンも」

 そう言って穂高は苦笑いを浮かべた。

「まぁ、確かに不便だけど、でもなんか心が満足してるって言うのかな……っていうか、毎日、傍に穂高がいるから、そう思うのかも」

「あずみ」

 そう言って穂高が、あずみの手を強く握り締めた時だった。

 暗い空の彼方から、激しい轟音が近付き、けたたましいサイレンが鳴り響いた。

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