天使の羽根

「な……何だよ」

 穂高は瞬時にあずみの肩を抱き寄せ、遠い空を見やった。

 何機にも及ぶ光が徐々に近付いてくる。しかも、いつもよりも低空飛行で町の上を掠める。

 その機体の腹から、数え切れないほどの光が落下してくる。

 暗かったはずの空が、異様な明るさを生み出していく。

 穂高は、骨の髄から来る震えに怯えた。

「空襲だ!」

 背後では、清が大声で叫びながら家の中を駆けずり回っていた。

「マジかよ……あれが……」

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