天使の羽根

「いい子ね、ちゃんと被ってるのよ」

 あずみの言葉に、百合は鼻を啜り、小さく頷いた。

「早くしろ! 物凄い火が近付いてくるぞ!」

 荷物を両手に持っていた清だったが、それらを放り出して怒鳴ると、百合を抱え上げた。

「行くぞ!」

 そう言いざま、家族を先導する。

 そんな中、家の奥から智子も駆け出してきた。

「あ、智子さん!」

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