天使の羽根
店先から出て来てすぐ、穂高とあずみの声が聞こえたのだろう。
大事そうにカメラを胸に、穂高を見据える。
「道彦さん」
「俺が行く、だから二人は早く、おじさんとおばさんと一緒にキヨちゃんと百合ちゃんを連れて防空壕へ行け」
道彦は言いざま、首からカメラを取ると、穂高の目の前に差し出した。
「智子さんは俺が守る。必ず戻ってくるから、それまでこれを預かっていてくれないか」
穂高は震える腕を伸ばし、カメラを受け取る。
「お前」