天使の羽根
すると、グイッと引っ張られたブレザーにつられ体が後ろに引き寄せられ、穂高は足がもつれてよろめきながら止まった。
「ちょっと! 聞いてんの穂高! あんたが投げた缶でしょ、すぐにゴミ箱に入れてきなっ!」
「んだよ……うぜぇなぁ」
嫌そうに振り向いた穂高だったが、見慣れた顔に半笑いを返した。
「笑って誤魔化そうったってダメよ。ほら、行きな!」
そう穂高の背中を突き出すように叩いて送り出したのは、隣に住むあずみ。
同級生でもあり幼馴染のあずみは、唯一、穂高が心を許す女だった。