天使の羽根
「教えてくれたのは穂高だ、大切な人を守る方法は一つじゃない」
口角を上げ、初めて見せた笑顔はぎこちない。
穂高がしっかりとカメラを受け取った事を見届けると、道彦は一目散に炎が巻きあがる家中へと走り出した。
「おいっ!」
穂高の声も虚しく炎にかき消され、あっという間に道彦の姿が見えなくなった。
「二人とも早く、こっちだよ!」
豊子の呼び声にハッと振り向いた穂高とあずみは、更に強さを増す炎の力が辺りを焼き尽くそうとしている光景に震えた。
それでも、戦闘機の群れが途切れる事はなく、爆発音もあちこちから聞こえる。