天使の羽根

Act.3



 穂高はあずみの手をしっかりと握りしめ、炎の中ごった返す人波を掻い潜った。

 半狂乱になりながら体から炎を巻きあげ、助けを求める人を、心を鬼にして避け走り続ける。

 横目に、息絶えていく様を見流し、穂高は唇を噛んだ。

「穂高……もう、ヤダよ……」

 弱気なあずみの声が届く。

 それでも穂高は振り向かず、その手を握り離さない事しか出来なかった。



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