天使の羽根
「穂高?!」

 あずみが涙を浮かべて駆け下りてくると、しっかりとその腕を掴み泣きじゃくった。

「バカ穂高! 潰されちゃったかと思ったじゃない!」

 大丈夫、そう言いたくても穂高は声を発する事が出来なかったらしい。すぐさま消し去りたい現実が、痛みとなって心を抉っていく。

「みんなが取り憑かれたように川へ入って行くの……あたし怖くて、キヨちゃんを守るのが精いっぱいで、ごめんなさい、百合ちゃんの事、見てただけで」

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