天使の羽根
 そして、穂高の壊れそうな心も体も、全てを包み込むように、背後から抱き締めた。

「でも、こんな時に非常識だって思われるかもしれないけど……あたしは道彦さんが穂高を守ってくれたと思ってる!」

 そう言って、更に抱き締める腕を強くした。

「あずみ?」

「あたし、穂高が死んじゃったら生きていたくないもん! あの時、智子さんを助けに行ったのが穂高だったらって思うと、もしかしたらって思うと怖いもん!」

「……あずみ」

 穂高は、目の前にあるあずみの腕に、そっと掌を重ねた。
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