天使の羽根

Act.5

     ◇



 日が高くなるにつれ、町の中はざわめきを増した。

 空襲で死んでいった人たちを、生き残った人たちが集めて回る。そんな中、やはり家族を失った悲痛な叫びが、止む事はなかった。

 智子も道彦も例外ではなかった。

 死んだ人たちは全て、山のように無造作に集められ、荼毘に付されるのだ。

 地面に座り、魂が抜けたように朦朧とする豊子は、傍らにキヨは大事そうに抱え、髪を撫でていた。

「……智子、よしよし」

 そう言いながら、豊子の瞳はいつも空を眺めていた。

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