天使の羽根
 懸命に生きる過去の人たちを目の当たりにしてきた穂高だ。尚更、史恵を安易に認める事が出来なかったのだろう。

 しかし、史恵はいつになく真剣な表情を見せている。

「男なんかいない」

 そう言って、目に涙を浮かべていた。

「何言ってんだよ。だって毎晩のように男のとこに行くって化粧して出掛けて……」

「仕事、してたのよ……」

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