天使の羽根
「だって穂高の事だから、絶対に高校辞めて働くとか言いだしかねないでしょ。それだけは避けたかった。だから、お父さんにも、慰謝料なんていらないから……たまにでもいいから家に顔だけは出すようにって頼んでたの」

 穂高は、両脇に垂らした腕を震わせた。その拳を居た堪れない気持ちで握り締めている。

「……嘘、だろ」

「穂高には高校くらいは出て欲しいって思ってたんだけど……やっぱり意味なかったみたいね」

「……その意味が解んねぇんだよ……」

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