天使の羽根

 そう思い、穂高は手の中にある小さな箱を握り締めた。

「なぁ叔父さん。一つ聞いていいか?」

 穂高は振り向かないままに、高生に聞いた。

「何だね?」

「叔父さんの父親って……名前……何て言うの」

 思いがけない質問に、少し戸惑ったようだが、高生はクッと唇を噛締めると口を開いた。

「道彦……藤波道彦だよ」

「藤波?」

「ああ、養子だそうだ」

「そっか」

 穂高は確信したように、再び笑みを零す。

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