天使の羽根
――だったら、俺のやるべき事は……一つしかないのかもしれないな。
穂高は、そう感じて、智子の入院する病院へ向かう為、高生と史恵を残して家を後にした。
穂高の背中を見送った高生が呟く。
「すみません、史恵さん」
背中を丸め顔を上げないまま、小さく首を振り史恵は答えた。
「いえ、謝らないでください」
高生は申し訳なさそうに唇を噛締めた。
「私はただ一人の親として……高志を守りたいんです……」
その言葉に、声を張り上げて更に泣きじゃくる史恵の肩が大きく揺れた。