天使の羽根

 鼻を啜り、穂高はようやく顔を上げる。

「これ、俺が帰った後にでも、高志に見せて説明してやってよ」

「穂高くん」

「俺がいる時じゃ、全然話も聞いてくれないだろうし、でも何も知らないまま俺がどこに消えたのか説明しやすいだろうし」

 穂高はそう言うと、大切に智子が守った写真を、高生に手渡した。



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