天使の羽根

 徐に振り向いた穂高は、遠くから駆けてくる高志を視界に捉えた。

「あのバカ」

 そう言って穂高は口端を上げ笑った。

 高志は息せき切って穂高の目の前に立ち止まる。

「前にもあったな、こんな場面」

 穂高は茶化すように笑っている。だが、高志の目は真剣そのものだ。

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