天使の羽根

「……穂高」

 高志が今にも泣き出しそうな小さな声で名を呼ぶと、穂高は笑顔で振り向いた。

「必ず命を繋げる……精一杯生きて、今のこの時代に生きるお前に繋げる」

「頼む……俺を一人にするな」

「また会えるさ。形は違ってもいつか必ず」

「でも!」

 涙でくしゃくしゃになった高志の顔を見つめ、穂高はそっと手を差し出した。そして、その手は優しく、高志の髪を撫でた。

「!」

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