天使の羽根

 泡立ち流れていくそれを見ながら虚しさだけが沸々と蟠っていく。

 傍らを見れば、夕飯だと言ったカップラーメンが視界に飛び込んだ。

「何が母親らしい事だ……どこに男とデートして朝帰りの母親がいるってんだよ……ろくに帰ってこない父親って有り得ねぇっつうんだよ……どこが家族なんだよ」

 流しきった空き缶を勢いよくシンクに叩きいれた穂高は、両手拳を強く握り締めた。

「初めから結婚なんかすんなってんだ、くそったれ!」


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