天使の羽根

「おっせーな……」

 呟く穂高の目の前を、生温いつむじ風が緑桜の葉を舞い上げてすぐだった。

 大きな音を立ててシャッターが上がる。

「待たせたな」

 と、軽い調子で高志は、背丈よりも低く開けたシャッターを潜って出てきた。


< 97 / 562 >

この作品をシェア

pagetop